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インドネシアのイスラームをめぐる最近の動向

今夏は久々にゆっくり調査ができました。二ヶ月ほど更新を怠っているうちに出たものをアップしておきます。そろそろマトモな論文に仕立てないといけません。

共産党の亡霊と空中戦」じゃかるた新聞 (9/25)

イスラム急進派対策と『静かな外交』」じゃかるた新聞 (8/28)

インドネシアにおけるサラフィー主義の影響」『東亜』 9月号

インドネシア・イスラーム『保守化』の真相」『外交』44号、2017年7-8月。

いいたいことをまとめるとこんな感じです。

  • アホックの件以降、2019年大統領選に向けて一部イスラーム保守勢力がジョコウィに「反イスラーム」「親中国」「親共産党」といったレッテルを植え付けようとする傾向がより明確になった。国軍、とくに大統領選に色気をみせるガトット・ヌルマントヨ国軍司令官との相互利用がみらる。
  • 他方、ジョコウィもカリフ制樹立を目指す解放党の解散など、強引なやり方もみられる。2019年に向けて、空中戦が続くだろう。
  • ただ、乱暴な発言を繰り返していた華人キリスト教徒へのアホックへの抗議に参加した人々が、世俗的とはいえムスリムでとりわけ宗教関係の発言には慎重なジョコウィに対して同じように反感をもつかといえば疑問。世論調査では、8割近くが解放党の解散に賛成。
  • 警察によるテロ対策はおおむね成功。200人弱のシリアやトルコからの強制送還者は、数週間政府のリハビリ施設に入り(法的根拠は不明)、その他複数のNGOがコンソーシアムを組んで脱過激化プログラムを実施。ただ、新規にSNSでリクルートされた要員が実行犯のケースが多く、小規模で散発的なテロを防ぐのは困難。
  • インドネシア・ムスリム社会の問題はテロ(過激化)ではなく、宗教をめぐる日常的な不寛容の高まり(保守化)、政治的な分断。